「母と暮せば。」
2019/3/9
気になっていた「母と暮せば」を観ることができた。
(※ネタバレを含みます)
- 「日本の演劇」が映画の中で行われている感じ。
そのため台詞が説明的だったり、身振り手振りが大きかったりという特徴があり、リアルを求める人には不評だったか・・・。
俳優陣の演技にただただ引き込まれる。
- 嫌みの無いファンタジー。
ただ亡霊としての浩二が妙に人間くさく、また(死の近い)母にしか見えていないという設定、浩二が泣くと母には見えなくなるという設定は比較的万人にわかりやすく、受け入れやすい設定だった。
浩二は母にしか見えていなかったからこそ、端から見れば「かわいそうな孤独の死だった」となっているところも妙にリアル。
- 音楽がとても良い。ただただ良い。
- 人間の嫌なところもちゃんと描いているので余計に生々しい。
浩二が町子の結婚を許せないかっこ悪さとか、町子が操を立てようとしつつも幸せをつかもうと藻掻く姿とか、町子が生き残って幸せになることに嫉妬する母の姿とか。
上海のおじさんも人間っぽくて良いキャラ。現代人の目線に唯一近いキャラクター。
「死んだ人の発言をどうして確信できるのか」
「どうして形見を手放さないのか、高い値がつくのに」というアメリカンな考え方。
こういうキャラクターがいるから、安っぽいファンタジーに成り下がっていないのがミソ。
- やるせなさが募る。
「自分が死んだことも分からない一瞬だった」
「素晴らしい映画を作る国が原爆も作る」
だから戦争は繰り返してはいけない。
こんなに明らかなロジックはない。
- 二宮さんの表情が良い。表情で演技する人。
だけど「表情を作りました」という演技ではなく極めて自然。とにかく自然。観る者に疑問を抱かせない。プロですね。
歌うまいな。
てか高校生役に違和感が無い・・・何歳だっけこの人。