ちよの考察

嵐について、映画について、小説について、いろいろ考察するのが好きな私の独り言。

ナラタージュ(1)~噛めば噛むほど味が出る~

2018/8/18

 

ナラタージュ観てる

いやー恋ってむずかしいよね

 

(※ネタバレが含まれます)

 

 

 

女目線で見ると、葉山はずるいよ。

泉の気持ちに気付いておきながら、それに応えてくれないし、 泉が勇気を出して迫っても、そのプライドを傷つけるような行動とるし、 泉が葉山を忘れようとするたびに連絡取ってくるし、 本当になんやねん、と。

中途半端な優しさはいらないんだよー

 

泉目線で見てると、かなり共感できる。

年上の男性と、(いくら先生とはいえ)あんな風に時間を過ごして、優しくされたら好きにもなるわな。

葉山を諦めようと思って、近くにいる、しかも自分に好意を持ってくれている人がいたら、その人にすがりたくなるのもわかる。 でもその通りにはならないんだよな。

気持ちは論理的思考や環境ではどうにも変わらないっていうか。

 

こういう泉のどっちつかなさも、小野から見たら「ずるい」んだろうなあ。

映画を見ていると小野には申し訳なさばかり先行する。決して彼を嫌いなわけではない、でも好きだから付き合っているわけでもない。

 

小野の方も、彼女目線で見ると嫌な男かもしれんけど、小野からしてみれば必死なんだろうな。

泉のことは好きだけど、どう頑張っても完全に彼女の心をつかむことはできなくて、嫉妬心や羨望がどんどん変な方向に向いて、逆に泉を締め付けてる、ていうか。

小野は若いんだよな。

そう思ってあげられたら可愛いものかもしれないけど、 泉目線で見るとこれほど嫌な彼氏はいないわ。

こういうタイミングでまた葉山が出てくるんだもん。

ずるいわー

 

 

葉山は弱い男だ。

誰かにすがりたい、それに誰かから頼られたい、と思っているけどかといって何か大きな行動ができるわけどもなく、妻に対しても煮え切らず、ただ現実から目をそらして逃げているようにしか見えない。

イライラするけど、それが彼の魅力でもある。

助けてあげたくなっちゃうんだよなー

 

葉山がさっさと泉から離れてくれたらよかったのに。

あるいは泉の気持ちに早く(きちんと)応えてくれたらよかったのに。

泉目線で見ると、葉山の煮え切らなさのせいで苦しめられた、って感じ。

 

病院のシーンも、あんな状況の中でも泉は葉山を意識しているし、小野は小野で葉山への嫉妬心を前面にむき出しにしている。

人間のズルさっていうか、それを嫌という程感じさせられる。

 

 

小野に本心を告げるシーン、痛々しい…

小野がかわいそうだ

今まではなんだったの、ってなるよね、そりゃそうだ。

どんなに追いかけても自分のものにならないもどかしさ、悔しさ。 泉は小野を傷つけるだけ傷つけて、ただ去っていった、って、男性側から見ればそう映るよね。

女目線だと痛いほど泉の気持ちがわかる。だから泉に同情しちゃう。

 

でも葉山のところに行くって、よく決断できたなー

そこはわたしにはないところかもしれない。

きっとズルズル小野と続くか、別れても葉山のところにはいかない。

 

 

柚子の死をもって、改めて泉はどうして自分が葉山に惹かれたのかを考察する。

2人の間にあったのは恋愛ではなかったかもしれない。

お互いにお互いを求めていた。

依存していた。

それは一般の男女の恋仲ではなかったのかもしれない、と思うと、泉の言わば「不幸」に同情させられる。

 

 

葉山ももう少し早く、本心を泉に伝えるべきだったな。

こんなに泉は苦しむ必要なかった。

「君が僕を救ってくれた」って、響きは綺麗だけど、結局最後まで泉の想いには応えてくれなかった。

最後くらい「好きだった」って、嘘でもいいから言ってくれてもいいのに!泣

悔しいわ。ずるい!

 

 

最後のラブシーンだけは、ある意味葉山は泉にはじめて応えてくれたわけだけど、泉はどんな気持ちだったんだろう… もともと求めていたのはこういう形じゃなかったよな。

それでもいいと思えたのはどうしてだったんだろう。

状況だけ見ると、妻のいる男が、しかも教師と生徒の関係で、恋愛ではないのに、抱き合っている。

普通なら気持ちの悪いものだけど、それは一切感じない。ただただ切なさ、寂しさだけが襲ってくる。

 

 

おおお 懐中時計は巻き直さないんだ! 泉らしいな…強い…

でも葉山の憎さが最後まで満点だわ…

思い出させるものをこれ以上泉に残さないであげてよ!

綺麗さっぱりしないと、泉は苦しめられるんだってば!

 

 

懐中時計の蓋の文字の意味に気付いてから、時計は再び動き出す。

「幸せであるように。」

葉山は最後まで優しい男だったな。

泉が葉山との関係を「愛だったのかわからないし、一方的だった」と解釈しているのも驚かされる。

強いよね。

決して葉山を責めない。それだけ、本当に好きだったんだな。

 

懐中時計は泉に葉山を思い出させて、苦しめるものでなくて、過去を懐かしむ為のものになってくれたのは救いだった。

「幸せであるように。」は、いい意味で葉山の泉への接し方を象徴している気がする。

 

エンドロール、「ちゃんと思い出にできたよ」という歌詞がいいね。 全ての恋が、幸せである必要なんてない、そう気づかせてくれた映画。

 

何度でも見たくなる映画だ。